心愛




大雪の日、この写真を撮った20秒後に心愛が何の前触れもなくパタンと雪の上に倒れた。
急いで抱き抱えたけれど、心愛の命は今にも消えそうで、病院に電話したら、そのまま死ぬかもしれないから覚悟するようにと言われた。閉院時間まであと1時間。意を決して下ることにした。すると、車のバッテリーが上がっているではないか。
けどそれが良かった。お陰でJAFにチェーンも着けてもらい、ぎりぎり病院に滑り込んだ。
心愛は重度の心臓病だけど、お腹の中には腫瘍もあって、それが凄い勢いで大きくなって爆発していた。
ここ3日が勝負でこのまま死ぬかもしれないし、山を乗り越えて容体が落ち着いたら、手術出来るけど、どうしますか?手術をしても、この子の場合、心臓病もあるので、麻酔をしたまま目覚めないかも知れません。
そのまま入院させて一人で帰ってきたけど、2年ぶりに一人になったら、家の中がすごくしんとしていて、心愛の存在の大きさに気が付いた。仕事が忙しすぎて、毎日0時過ぎで、一緒に寝るだけの生活に心愛は自分が必要のない存在だと思ったのかもしれない。心愛は毎日、このしんとした世界に私よりも長く一人でいたんだなと改めて思った。
今さらだけど、心愛を大切にしたい、もう一度チャンスが欲しいと思った。
毎日、18時に仕事を終え、面会に行き、仕事の行き帰りは遠回りして、病院の前を通りながら心愛に話しかけながら通勤し、一時帰宅の時は会社に連れて行き、休憩時間の度に駐車場に会いに行った。
心愛はみるみる回復し、嘘みたいに元気になった。
せっかく元気になったのに、手術してもしものことがあったらと思うと、手術するのが怖くなった。
手術の日の夕方、電話をしてみると心愛は頑張って手術を乗り越えていた。
だけど次の日、手術後、出血が止まらない、こんなことは今までうちで手術したなかで一度もなかった。かなり悪性の癌かもしれない。今、摘出したものを検査に出しています。そんなこととは裏腹に心愛は少しずつ元気になっていった。出血が止まり退院の日、心愛はおおはしゃぎで家に帰って来ると、家中を歩き回り、ベッドに甘え、私にべったり、終始にっこり笑って私の方をちらっと見ては張り切りまくっていた。可愛いのぉ♡先週出た検査の結果、心愛の中に発生した物体は奇跡的に血腫だということが分かった。
本当に良かった(^-^)心愛、戻ってきてくれてありがとう♡(^-^)♡