入校式再び

妖怪人間ベム』の中に紛れ込んでしまったようなそんな世界で今日入校式が行われた。
いつ建てられたものだろう?かなり古い木造校舎。校舎の外には溜め池があって、その傍らの地面から女性?の石像が身体半分出ている。
そして、その少し向こうでは何故かアザラシの石像が。これまた体半分地面から発生していた。
今日は朝からどんより灰色の空。雨が音も立てずしとしとと降っている。校舎に入ると灯りのついていない薄暗い廊下がぼーっと伸びていて、入口に小さな黒板が置いてあった。
「入校式は2階の奥の教室でおこなわれます」
廊下には誰もいない。少し早く来すぎたかな。薄暗い廊下を奥へ歩き進む。廊下も階段も全て木。廊下に沿って並んだ教室には「科」の名前が書いてあった。板金、屋根、造園、服飾、建築なんとか、、、そこで初めて気がついた。私は何科に入学するのだろうか?聞いてくるのを忘れてしまった。
まあ、直に分かることか。
そうして本日、わたくしはまた職業訓練校木造建築科へ入校いたしました。
ついこないだ職業訓練校の総合建築科を卒業したばかりだというのに、人生というのは本当に何が起こるか分からない。

うちの会社は手刻み加工で伝統的な家づくりをする、今時珍しい、住み込みで弟子を入れている工務店。その社長が、伝統的な構法の基本を勉強してこい!とまた職業訓練校に行かせてもらうことに。

それが、あまりの雰囲気に少々びびりながら教室で待っていると、入ってくる講師の方々はどういうわけか皆60歳又は70歳を優に超えているような方々で、ひとりの方は式の間ずっと口をちゅぱちゅぱ言わせているし、ひとりの方はしんどそうに足を引きずられているし、校長も卒業証書をまともに読み上げれずに。(今日は卒業式兼入校式でした)なんというか少し不安になってきて、
それから、ここ最近幾度となく聞いた”震災と不景気”というキーワードで綴られたお言葉をまた同じ話だ。とぼーっと聞いていたころ、校長先生のお話があった。
校長は先程とは打って変わって、はっきりとした口調で堂々とお話をされた。出だしは皆さんと変わらないような始まりだったと思う。
だけど、途中私の耳には校長先生の言葉がしっかり届いた。
最近の大工は腰袋にノミやカナヅチではなく、スパナが入っている。工場でロボットが加工した部材をクレーンを使ってぱたぱたと組み立てる。
だから、現場にはカンナくずは落ちていないし、掛けやの音も聞こえない。そうして作った家は上に乗ればぐらぐらゆらゆら動いて、だから金物を使って補強をしなければいけない。伝統的なやり方だと云云。  それを聞いて、良かった( ´∀`)そう。私はそれ、伝統的な家づくりがしたいのだ。それを熱く語ってくれる先生がいらっしゃって良かった。と安心した。

でもですよ。
それから教室で配られた教科書は、6冊全部去年1年学んだ教科書と全く同じ。。。今度は週1だけど2年。同じ教科書を2度学ぶってのは何だかとても辛い゚(゚´Д`゚)゚
けど。今日いらした3人の卒業生はみんな良い顔をされていた。本当に楽しそうに、学校を去るのが名残惜しそうに。
私の行っていた学校は最新設備も整った見た目もとても綺麗な学校だったけど、卒業式の日の私たちの顔はこんなじゃなかった。
行っていた学校もとても良かったけど、きっとこの学校ももっと素晴らしいに違いない。
もう一度何度でも同じことを繰り返し学ぼう。そしたらきっと少し見えてくる!