今日は学校の課外授業で木材市場見学へ行きました。
敷地には丸太がたくさん並んでいて競りにかけられていました。木は何十年、何百年というとても永い時間生きてきて、一瞬で切り倒され、運ばれ、ここに到着しました。それから切られ、人口窯に入れられとても熱い想いをし、あれよあれよという間に製材されて行くようでした。木の命を尊ばない、人間の火葬のようなあっけない最後です。本当は木は切られてからも生き続けるのに、強制的に乾燥させることで水分だけでなく樹液も飛んでいってしまいます。その甲斐あって、ぎんぎんに乾かした木材はほとんど捻じれません。でも、天然乾燥させた杉はとても良い香りがするのに、人工乾燥の杉はほとんど匂いを放ちません。更に、木は家に形を変えてからも呼吸するのに、接着剤でくっつけた集成材は呼吸をしないため、捻じれません。変形しないのは木が死んでいるためです。だけど、今のお宅はほとんどが人工乾燥の集成材で造られているそうです。本当は冬場の木の活動がおさまっている時期に伐採し、ゆっくり葉枯らし乾燥してその後、輪掛け乾燥させて使うのが良いのだけど、住宅はクレーム産業だから仕方がないのだと言っていました。お客様が木について知らないのです。分業化が進みすぎた弊害のようでした。
それから、併設されているプレカット工場を見学させてもらいました。ロボットが刻んでいます。大工さんが刻むよりはるかにコストが押さえられるので最近はプレカットが主流です。専用のCADで図面を引くとロボットが正確に刻んでいき、一軒分の部材が出来上がります。1軒1軒バーコードで管理され、ラインの上を木材がどんどん流れていっていました。
家造りはコンピュータにのっとられていました。最早家は大工ではなく、設計士さんとパソコンで作るものになっていました。日本人は森の民なのにとても大切なことを忘れていってしまっているようでした。前に学校で見たDVDで、プレカット工場は木の腹・背・末・元を見ずにどんどん木を流していく。工場で働く人たちが木をどういう風に使うのか知らないのだと言っていました。機械を使ったとしてももっと木の性質を尊重して共生できたらいいのになと思いました。